” A man who doesn't spend time with his family can never be a real man "

2匹の仔犬が目印

中京行政書士法務事務所


〒512-8042 三重県四日市市平津町280番地16(令和4年4月移転)
 

遺産分割の方法

(民法の改正で遺産分割が配偶者優位に)

被相続人が自宅を所持していたケースでは、多くの場合、
その不動産の価格は相続財産のなかでも大きな割合を占めることになります。
しかし、だからといって配偶者と子どもたちの間で自宅を分割し相続を行うようなことになっては、
配偶者は住む家を失ってしまうことになります。
そんな事態を避けるため、約40年ぶりに相続に関する民法が大幅に改正され施行されることになりました。
この改正によって、結婚20年以上の夫婦の場合は、
自宅は分割財産から外されることになるため、配偶者が自宅を奪われたり、
多額の代償金を相続によって要求されたりすることがなくなることが避けられるでしょう。

遺産の受取り方

遺産分割協議や調停で決めるのは分割割合だけではありません。
財産にはさまざまな種類があり、各相続人がそれぞれどの財産を希望するかも変わってくるでしょう。
遺産が現金や預貯金だけなら、相続割合さえ決まれば分けるだけなので難しくありませんが、
問題は、土地や建物などが関わる場合です。
それらの財産は単純には分けることができず、
相続人たちの間でどう分割するのかを考える必要があります。

その方法として、

現物分割、
換価分割、
代償分割、
共有
これら4つが考えられます。

具体例

現物分割は文字通り、現物のまま財産を分ける方法です。
不動産や預貯金、株式など、いろいろな種類の財産について、
各財産の所有者を決めることで分けていきます。

この方法は、自宅なども含めてどれも換金することなく相続できる点がメリットです。
デメリットとしてはかならずしも公平に分けられるわけではない部分があげられます。

換価分割では、相続財産を現金化し、得られた現金総額を決められた割合に分けますが、
現物を残すことはできません。
配偶者や子どもが、残された自宅に住み続けたいと考えているなら、得策とはいいがたい方法です。

代償分割では、特定の財産を相続した相続人がその代償をほかの相続人に支払います。
自宅や自動車などの財産を特定の相続人が相続します。
その財産に対するほかの相続人たちの取得分を、その取得分全体の評価額から割り出し、
現金のかたちでその相続人たちに再分配するという方法です。

この方法の問題点は、
不動産などの財産を取得した相続に代えて支払う代償分が、
どうしても高額になってしまうということ。結果的にその分配分を支払えず、
家に住み続けることができなくなる可能性すら考えられます。
そのような事態を避けるために配偶者の居住権を保護する民法改正が国会で可決されました。

共有とは文字通り、財産を相続人で共有する方法です。
それまで自宅で同居していた相続人の一家がそのまま自宅を残して住み続ける場合などがこれにあたります。
この方法なら、財産を残しつつ公平に権利を取る得ることができます。
この場合、誰かひとりが売却を望んだりした場合にも、全員に権利があるため、
全員が合意していないと処分することができません。
所有財産の維持、処分などが関わる点に注意しなければならないのがこの方法の問題点です。

 

遺産分割協議

遺言書がない場合

民法は法定相続人とその相続割合について定めています。
しかし具体的な財産を誰が相続するかは、相続人全員による「遺産分割協議」で決定すると定めており、
法定相続分と異なる遺産相続を実現するには、遺産分割協議及び遺産分割協議書の作成が不可欠です。

遺言書がない場合は自動的に法定相続分で分割されるのであれば家族はもめるようなことはありませんが、
取り分をみんなの話し合いで決めるとなると相続はまずもめると思ってまちがいありません。

遺産分割協議の手順

(1) 相続人全員のもとで協議を行う

相続人の一部の者のみで行った協議は無効になりますので注意が必要です。
ただし、相続人全員が一堂に会することが不可能な場合、
書面の持ち回りによる遺産分割協議も判例により認められています。

(2) 参加者全員が合意に達したら、遺産分割協議書を作成する

「遺産分割協議書」には、決まった様式はありませんが、
誰が何を相続するのかがはっきりわかるように記載し、
相続人全員が署名・実印を押印して印鑑証明書を添付します。

 

協議のポイント

(1) 遺産分割は必ずしもきっちり平等とはならない

遺産分割が法定相続分どおりにきっちり分けられるケースはむしろ少ないです。
不動産やその他の動産など分けられないものほど価値の高い遺産だったりする為です。
だからといって、自分の相続権に固執するあまり大事な親族の絆まで失うことになっては目も当てられません。
相続で得る財産など棚からボタモチ、なかったも同然なのですから、
ここは相続人同士の譲り合いの精神で、遺産分割協議に臨むよう、肝に銘じていただきたいものです。
勝ち負けではありませんし、損得ではありません。

(2) 隠し事は避ける

被相続人と同居あるいは財産管理を行っていた親族が
遺産を隠しているのではないかという他の親族の疑いの気持ちが
遺産分割協議で揉める一つの大きな要因となることがあります。

たとえ親族同士とはいえ、被相続人の財産を事実上管理する立場にあった相続人は、
他の親族に聞かれる前に財産を証拠書類とともに
相続人の前でオープンにするぐらいの気遣いが円満な遺産分割協議のために重要なポイントです。

名義変更手続き

遺産分割協議まで完了すると、次は遺産の名義変更手続きが待っています。

「相続」といってまず一番にイメージするのは不動産の相続かもしれません。

「自分の兄弟は仲が良いから大丈夫」「とりあえず一旦共有名義にしておいてまた考えます」
などとおっしゃられる方が多いのですが、これは「単なる問題の先送り」でしかありません。

その不動産を売却や賃貸、補修等があった際に相続人全員での協議が必要となる場面が出てきます。
仮に売却する場合、相続人全員の合意がなければ売却できません。
さらに子供や孫の世代のことまで考えると、
やはり早い段階で手続きを済ませておく方が賢明です。

(市役所で取る必要書類)

·  印鑑証明書付遺産分割協議書

·  被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

·  相続人全員の戸籍謄本

·  相続人全員の住民票

·  不動産の固定資産評価証明書

(不動産を相続する場合の名義変更手続き)

不動産の相続の場合、預貯金の相続とは条件が大きく違います。
とくに相続人が受け取る住宅に被相続人生前から住んでいて相続後も売却などせず、
同じ住宅に住み続けることになるケースなどです。
このような不動産を相続する場合、相続の前後で相続人の生活にはほとんど変化は起こりません。
そのため、不動産の相続についてはなんの手続きもされずに放置されてしまうことも少なくありません。
しかし、それでも財産の所有者がいなくなり、それを引き継ぐことになる以上、
少なからず手続きを行わなければならないのです。
不動産を相続し受け取るといっても家はこれまでどおり、
不動産を相続したことで変わるのはその財産の名義だけです。
この変更のために必要な手続きを「名義変更登記」といいます。

 じつはこの名義変更を放置していたとしても、
急にトラブルが起こったりするようなことはほとんどありません。
相続財産として計上と申告を行い相続税を支払ってしまえば、
それで相続税の問題は解決です。登記変更にも期限はなく、
名義が誰になっていても罰則は与えられないのです。

つまり、実際に住むうえでは、実質的にはなんの問題にもならず、
相続の時点で困ることあるとすれば、その物件を売却して、
納税資金に充てようと考えている場合くらいなのです。
ただし、不動産の名義を故人のままにしておいたために、
将来、相続人の子どもや孫たちに不動産を渡すときにトラブルが起こる可能性も考えられます。

(増改築や売却をできるのは、その住宅の名義を持っている人物だけ)

例えば、祖父の代から住んでいる住宅を祖父から父が、父から母が相続し、
母が亡くなったため、今回相続人が受け継ぐことになったとしましょう。
仮のその物件が老朽化していたため、その家を改築したり、
売却したりしようと考えたとしても、仮に名義が祖父のままになっていたとしたら、
その状態では、相続人はまったく手が出せないのです。
手を入れようと思ったら、名義を自分のものにしなければなりません。
この場合、相続人は祖父ではなく母から家を受け取ったため、
まずは祖父から母に相続されるまでのすべての過程について、
きちんと相続が認められていることを証明する必要があります。

 つまり、祖父から父、父から母への相続におけるすべての財産相続について、
ほかの相続人が全員合意していることを書類上で証明し、
名義変更で必要な書類を用意して提出しなければいけないのです。
このためには、これらの相続の手続きを再び行う必要があります。
相続の内容を証明するためには遺産分割協議書が必要となります。
祖父が亡くなったときの協議書などの書類が残っていて、
そこに住宅の相続について記載があれば問題はないのですが、
それが残されていない限り、改めて協議書を作成しなければなりません。
遺産分割協議書には法定相続人の署名と印鑑が必要になります。
しかし、祖父から父へ相続したときの法定相続人となれば、
今回の相続人の父とその兄弟、叔父や叔母たちです。
しかし、父と同様に、彼らがすでに亡くなっている場合も考えられるでしょう。

 その場合、その叔父や叔母から相続権を引き継いだ子どもたち、
つまり、相続人にとっての従兄弟に署名と捺印を求めなければいけないのです。
場合によると、協議書作成のために、
10人以上の親戚に印鑑を求める必要がでてくることすらありえます。
このような協議書を用意することができて初めて、その住宅を相続人が承継したこと、
所有権を持っていることが証明されます。
それによってようやく、相続登記の変更手続きに進むことができるのです。

 名義変更を怠ったら)

売却や改修などができない
使っていなかったとしても固定資産税がかかる
いざ売却しようと調べてみると想像以上に時間や費用がかかる
放置していると不動産価値は下がる
延ばし延ばしで相続人が増えれば相続トラブルの原因になる可能性も高まる

 基本的には名義変更をしなくても罰則はないため
被相続人の名義のままにしている場合も少なくありません。

しかしトラブルの原因にもなり得るものなので、
できれば変更手続きは早めに済ませておきたいですね。
土地を被相続人から受け取るばあいには、
他にも注意するべきことがあります。
それは、不動産の場合、相続人が不動産を受け取るときの条件によって、
課せられる税金の率が変わります。
不動産の取得には、相続以外にも納めなければいけない税金がありますが、
それが相続なのか遺贈なのかにより税率が変わってくるのです。

遺贈の場合には、相続人と被相続人がお互いに合意の下で引き継ぐという扱いになるため、
移転手続きにあたって被相続人の意思を示す遺言書が必要になりますが、
法定相続人以外であっても受け取ることができます。

しかし相続では0.4%だった登録免許税が、遺贈するときには2%になり、
かからなかった不動産取得税も課せられるようになってしまいます。
そのため、特定の人物に対して、確実に相続しようとするような場合以外、
この方法をとることで得られるメリットは極めて低くなるといえるのです。
ちなみに、不動産の賃借権に関しては、相続上の名義変更自体は不要ですので、
特別な手続きは必要ありません。賃借の証明書が出てきたら、
それを確認し、保管しておけば大丈夫。
ただし、被相続人の名義になっているままではトラブルが発生する場合もありますので、
更新のタイミングで早めに名義変更を行うことがおすすめです。